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Julio 20, 2005

銀色夏生 つれづれノート最終巻

銀色夏生という詩人が14年間に渡って書き綴った日記風エッセイ「つれづれノート」が
最新刊「川のむこう つれづれノート14」でついに終わりを迎えた。

第1巻からすべて読んでいる僕としてはなんとも寂しいかぎりだ。

銀色夏生と言えば、大沢誉志幸の歌で大ヒットした「そして僕は途方に暮れる」の作詞で有名だ。
他にも歌の詞をいくつか作っているけど、角川文庫から出ている自由詩や写真エッセイでこそ
彼女らしさが表現されていると思う。

自身の内面を言葉で表現することに長けた人だけど、正直言って僕の感性とはちょっと違うかな、
という感じで、あまり詩は読んでいない。
ただ、「つれづれノート」だけは日常の雑事と内面描写の面白ゆえに大ファンだった。

一年に一回の発売で14巻だから、彼女の14年間が記されていることになる。

初めの頃の1から5あたりまでは、単に若い女性の日常はどんなものか、という覗き精神だけで
読んでいたような気がする。
内容も、自分は成功した作詞家で有名人で都会の高級マンションに住んでいるのよ、という自己顕示欲やら気取りやらカッコつけやらが随所に見られて、なんとなく嫌味だったような気がしていた。

僕が「つれづれノート」の大ファンになったのは、「バラ色の雲 つれづれノート6」を読んでからだ。

この中で彼女は離婚する。
長女を出産し家を新築し幸福の絶頂かと思われた時期に、突然に夫が家を出て行ってしまう。
その落ち込みの描写の素直でリアルな文章を読んですっかり引き込まれてしまった。

そしてこの6以降、彼女の文章から虚栄心がキレイさっぱり消えてしまう。
何巻だったかは失念したが、便秘がひどくて夜通しトイレで踏ん張ったものだから翌日の予定をキャンセルしたとか、娘を預けて再婚した相手と一泊旅行に行って子作り(もちろんはっきり子作りと書いてあったわけではないが)に行ったこととか、よくまぁこんなことまで、と思うようなことが沢山書かれていた。

再婚相手と離婚したくだりが書かれている巻(たしか「島 登場 つれづれノート10」だったか?)が発売された当初は、あの2ちゃんねるで祭りになった。
再婚相手のイカという男に対する非難と野次が凄かった。

14年前に「つれづれノート1 銀色夏生」が発売された頃には、今のようなBlogはおろかWEB上の日記もなかった時代で、日付のあとに淡々と綴られる日常の描写が新鮮だった。
今はBlog全盛、匿名で言いたい放題の過激な日記の前に「つれづれノート」も吸引力を奪われたのだろうか?

毎年初夏の頃、書店で発売になっている「つれづれノート」を見つけるとすぐにそれを買って読み、
その後にそれを渡して読ませ、ああでもないこうでもないと感想を言い合っていた彼女とも、
他愛もない会話をしながらお茶を飲むだけの仲になってしまった。
寂しいと言えば寂しいけど、有り難いと言えば有り難い友情……



川のむこうつれづれノート14
川のむこうつれづれノート14
バラ色の雲つれづれノート6
バラ色の雲つれづれノート6




Porto Norte Classico Concert
出演:福井伸治(ギター) 結城春香(ソプラノ) 2014/10/4(土)15:00~ 横浜市大倉山記念館ホール


投稿者 S-FUKUI : Julio 20, 2005 03:18 PM

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銀色夏生ファンなら誰しも、このつれづれノートがいいのよと絶賛し 一度でいいから読んでみろ!と、お勧めし、太鼓判を押すであろう・・・ まるごと1冊日記... [続きを読む]

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» 「川のむこう つれづれノート(14)」(銀色夏生) from 「いろいろ感想文」
銀色夏生の毎年6月に出てた日記エッセイであります。今回は「これで終わりにします」ってことなので、完結なんかなー。毎年本屋に「つれづれノート」が並ぶと「あー、6月... [続きを読む]

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